昨年にCoinKiteのCOLDCARD Mk4を、そしてつい最近BlockStreamのJADE PLUSを購入しました。
どちらもビットコイン特化のハードウェアウォレットです。
この記事では、なぜ私が取引所やソフトウェアウォレットでの保管を避け、ハードウェアウォレットでのセルフカストディ(自己管理)をしているのかについて書いてみたいと思います。
はじめに
私は2024年春まで、保有するビットコインをすべて取引所で保管していました。「貸コイン」(レンディング)なんかも、半年くらいでしょうか、やっていました。
でも、ハッキングのニュースを見聞きするたび不安が募り、セルフカストディに踏み切ることにしたのです。
以前は、ビットコイン関連のハナシは難し過ぎて、自分の手に負えるものではないと感じていました。正直、未だに分からないことだらけ…
試行錯誤の連続ではありますが、自分の資産は自分の手で守りたいという思いでやっています。
ハードウェアウォレットで安全にHODL
何BTCも持っているわけじゃないけど、少なくとも私にとっては大金であり、大切な資産です。失ったら泣きます😂
私はそんな大切なビットコインをできる限り安全にHODL(長期保有)するため、ハードウェアウォレットを使っています。
ハードウェアウォレットは、ビットコインの秘密鍵をオフラインで安全に保管する物理デバイスです。USBドライブに似た形状のものが多く、秘密鍵をインターネットから隔離した状態で管理します。
取引時にはデバイスをPCやスマホに接続し、デバイス上で署名を行い、公開鍵を用いてブロックチェーンに送信。
取引に使うときだけ接続するしくみのため、普段は完全にインターネットから隔離されており、マルウェアやハッキングから秘密鍵を守ってくれます。
2025年現在、価格は3万円前後するものが多いですが、その価値はあると思っています。
取引所保管のリスクと不自由さ
日本の取引所は、ハッキング時でも補償してくれるところが多いイメージです(取引所の管理に責任がある場合)。
そのため「補償されるならなら素人の自分が管理するより、取引所に任せた方が安全なんじゃ?」「セルフGOXしたら、絶対にビットコインは戻ってこないし」と考えていました。
とはいえ、もしある日突然、残高がゼロになっていたら…?ヤキモキしながら数ヶ月、あるいは数年も補償を待つなんて、耐えられる気がしません。
また近年、トラベルルールの導入により送金時に詳細の申告が必要になりました。その審査にも時間がかかります。
正直、最近ではこれなら銀行送金の方が楽なんじゃ… と思うほど。悪いことに使うわけでもないのに、送金先やその用途までイチイチ申告しないといけないなんて!
自分のお金のはずなのに、他人に管理されている感が半端ない。
こうした不満が募ったことも、脱・取引所のきっかけとなりました。
徐々に規制が厳しくなる中、取引所のお金は既に好きな時に、好きなだけ動かせるものではなくなっています。それって本当に「自分のお金」と言えますか?
取引所に預ければ、複雑な管理や勉強の手間がなく、確かに楽ではあります。でも、その楽さと引き換えに、自分の資産の主導権を取引所に握られてしまいます。
逆にハードウェアウォレットを使った自己管理では、自分で管理する責任とリスクを引き受ける代わりに、主導権・自由を得られます。
私は「自由が欲しくてセルフカストディに挑戦している」と言っても過言ではないかもしれません。
ソフトウェアウォレット単体での管理の限界
ハードウェアウォレットは単体では残高確認や送金操作はできず、必ず外部のソフトウェアウォレットと組み合わせて使う必要があります。
またハードウェアウォレットを使わなくても、ソフトウェアウォレットだけでセルフカストディすることも、一応可能ではあります。
ただし、スマホやPCがマルウェアに感染した場合、デバイスごと乗っ取られてしまう可能性があります。端末が乗っ取られれば、ソフトウェアウォレットに保存されている秘密鍵も盗まれて、資産を失う危険性があるのです。
先日もBlueWalletでマルチシグの設定や復元を試しましたが、その過程で怖いなと感じたのが、スマホやPCに直接シードフレーズを入力する点でした。
ソフトウェアウォレットだけで資金を管理する場合、常にインターネットに接続している機器に、秘密鍵を置いておくことになるのです。これは、かなり、怖い。
ハードウェアウォレットは、秘密鍵をソフトウェアウォレットから切り離すためのツールだと考えると理解がしやすいかもしれません。
正直、アプリひとつで完結するソフトウェアウォレットに比べると、手順は増えて面倒です。
ですが、その「ひと手間」があるからこそ、秘密鍵をオンラインから切り離すことができ、結果的にハッキングやマルウェアから自分の資産を守ることができるのです。
2台目のハードウェアウォレット購入と復元テスト
昨年、COLDCARDでセルフカストディを始めたまでは良かったのですが、大きな反省がありました。
バックアップとして控えたシードフレーズの正確性を確認していなかったことです。
本当であれば入金前に、一旦COLDCARD上のシードを破壊した上で復元を試す… というステップが必要だったのだと思います。
慎重に控えたので、バックアップに間違いがある可能性は限りなく低く、99.9%大丈夫だとは思う… でも、本当にバックアップが正しいかどうかは、シードを使ってウォレットを復元してみない限り分かりません。万が一、間違いがあったら?デバイスを紛失したり壊したりしたら、資産を失うリスクがあります。
最近その怖さに気づいてしまい、復元テスト用にJADE PLUSを購入しました。
COLDCARDは気に入っているので、もう一台買うことも考えましたが、違うハードウェアも試すことで理解を深めたいと思ったのです。
セルフカストディは学ぶことだらけだけど、こうした試行錯誤が自分の資産を守る力になると信じています。
おわりに:少額から試してみよう
セルフカストディを始めて、取引所より自由で安心だと感じる一方で、秘密鍵のバックアップや紛失・盗難対策、相続の問題(相続人もセルフカストディの知識が必要)など、さまざまな課題にも直面しています。
そう考えると、「みんなもやろうよ!」と安易におすすめすることはできません。
ただ一つ言えるのは、もし取引所での管理に不便や不安を感じているなら、少額から練習してみることは無駄ではないということです。
「額が大きくなったらやろうかな」と思っている人もいるかもしれませんが、額が大きくなればなるほど腰が重くなると思います。
高額の送金は、怖いので。自分以外の誰も管理できないウォレットへの送金なんてなおさらです。
ただ、ハードウェアウォレットを買って、鍵を生成してみるだけならリスクはありません(お金はかかるけど)。
そして、実際に少額の出入金を試してみる… そんなふうに練習しながら考えてみると良いのではないかと思います。
実際にやってみないと分からないことが、ビットコインには多いですから。